日本のがん治療が外科手術から始まる理由

 

自分のからだのことは、自分で考えて決めたいものです。

そのための参考にお読みください。

 

 

 

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【パーソナル健康学】No.734(2017.8.3)

 

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FROM 川嶋朗

 

 

 

 

 

西洋医学のがん治療においては、

 

「外科手術」「化学療法」「放射線療法」が

 

「三大療法」とされていますが、

 

 

 

がんだと診断されたとき、

 

最初に外科手術をすすめられることが

 

少なくありません。

 

 

 

というのも、

 

日本の医学界では、

 

外科医ががん治療全体を担当することが多いからです。

 

 

 

 

 

食生活の変化等により、最近でこそ、

 

大腸がんや乳がんの患者さんが増えていますが、

 

 

 

戦後ずっと、

 

日本の部位別がん罹患数(りかんすう)の1位は

 

胃がんでした。

 

 

 

 

 

そして胃がんの治療は、

 

外科手術を中心に行われていました。

 

 

 

胃以外の部位のがんについても外科医が主治医となったり、

 

ほかの診療科でがんが見つかっても

 

外科に回されたりするのは、その名残です。

 

 

 

今はかなり分業が進んでいますが、

 

以前は手術だけでなく、

 

抗がん剤の投与も外科医が行っていました。

 

 

 

 

 

もちろん、特に血液系統以外のがんで、

 

早期のもの、転移していないものに関しては、

 

がんを確実に切除できる外科手術は

 

非常に有効な手段となりえます。

 

 

 

また切除されたがん細胞は細かく診断され、

 

その後の治療の基となります。

 

 

 

 

 

しかし、手術はあくまでも、

 

数ある選択肢の中の1つにすぎません。

 

 

 

 

 

本来であれば、化学療法や放射線療法その他、

 

さまざまな方法を十分検討したうえで、

 

 

 

より効果が高くリスクが少ないと思われるものを選ぶべきです。

 

 

 

 

 

ところが、日本の医療の現場では、

 

主治医は自分の専門分野を最優先にしがちです。

 

 

 

たとえばステージ1の乳がんで、

 

化学療法や放射線療法による治療が可能だったとしても、

 

 

 

担当が外科医だと、多くの場合、

 

「手術で腫瘍を摘出するしかない」

 

と判断する可能性が高くなるでしょう。

 

 

 

 

 

医者たちが「がんを治したい」と考えているのは確かです。

 

 

 

ただ、多くの医者は基本的に

 

「患者は医療の知識を持っておらず、

 

 自分の治療方法は正しい」と思っています。

 

 

 

 

 

一方、

 

内科医が抗がん剤の限界とリスクを熟知しているように、

 

外科医もまた、外科手術の限界とリスクをよく知っています。

 

 

 

そのため、いざ自分ががんになったとき、

 

状況によっては「外科手術」という手段を

 

拒否する外科医もいるといいます。